定年準備メモ

数年後に定年を控え、老後に対する準備や不安を綴ったブログです

ほろ苦い思い出話

退職にまつわる昔のことを思い出したので書いてみます。

 

実は会社を退職するのは今回が初めてではない。

今の会社は3社目だから3回目の退職になる。



高校を卒業して最初に入ったのが農機具を製造している会社。

小さな会社で、市内で火事があると事務員の女性が対象の地区の人に知らせに来るような感じの会社。

出荷作業から営業、時には製造のお手伝いまでなんでもやらなければならなかった。

 

 

なにかと私の面倒を見てくれていた30代くらいの先輩がいて、その人はいつもお昼休みに倉庫内のパイプ椅子に座ってなにやら小説を読んでいた。

何を読んでいるのか聞いたところ村上春樹の小説だった。「羊をめぐる冒険」だったかな。

当時の私は聞いたことがない作家だった。

私も小説を読むのが好きなのだと伝えたところ、翌日に「風の歌を聴け」を持ってきてくれた。

 

私は小説といってもSF小説ばかり読んでいたのだが、一発で村上ワールドにはまってしまった。

あのすべてを説明しない感じが良くて、とにかく暇さえあれば「僕」と「鼠」のようにビールばかり飲むようになった。

 

その会社は結局くだらない理由で4か月で辞めてしまったが村上春樹は今も好きな作家だ。

先輩は最後、口もきいてくれなかった。

まあ私もそれだけひどい辞め方をしたのは事実だから仕方ないんだが・・・。

 

でも先輩が私に村上春樹を教えてくれたことは今も感謝している。